なぜ働き方改革が骨抜きになるのか?

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厚労相「単純営業は不適用」のウソ 裁量労働制拡大の末路 (3月7日 日刊ゲンダイDIGITAL)
加藤厚労相の単純な営業って何安倍政権が強行する「働き方法案」から削除され、今国会での成立が消えた裁量労働制
の拡大。もしデータ捏造(ねつぞう)の発覚がなかったら――と考えるとゾッとする。
というのも、拡大されれば、裁量労働制が働き方の“標準”になること必至だからだ。
加藤勝信厚労相は、適用には「労働者の同意が必要」と強調し、野党は「会社の要請
を断れない」と反論しているが、そんなに生ぬるいものじゃない。2008年の
リーマン・ショック前の過熱景気時に会社を辞めたものの、リーマン後の大不況下で
の転職活動を余儀なくされた男性(40代)が言う。
「妻の年収は100万円。家のローンもあった。なかなか決まらず、夫婦ともピリ
ピリ。どこでもいいから拾ってくれという感じだった。もし裁量労働制という条件が
つけられていたら――就職できるなら、のむに決まっていますよ」
一方、就職活動をする新卒の学生はどうか。昨年、就職活動をした女性(20代)が
言う。 「入社したい会社が、裁量労働制だったとして、二の足を踏むでしょうか。
そこで働けるわけだから、ほとんど気にしないと思います」
つまり、労働者は、就職の段階で「同意」して入社してくるのである。さらに裁量労働制が“世の中の標準”になれば、なおさら
求職者に選択肢はなくなる。それは杞憂(きゆう)ではない。際限なく広がる仕掛けがあるのだ。加藤厚労相は「単純な営業
には適用しない。企画型営業だけだ」と繰り返しているが、「単純な営業」って何だ。
「モノを買ってもらうことは大変なこと。営業は、新規、既存顧客を問わず、常にあれこれ考えてする仕事です。加藤大臣が、
何も考えずただモノを顧客に届けることを『単純な営業』と言っているのなら大間違い。それはデリバリーですよ」
(大手化学メーカーの営業担当)(後略)

働き方改革法案で、やはり骨抜きになった「同一労働、同一賃金」(3月1日 ニューズウィーク日本版オフィシャルサイト)
<他の先進国ではあり得ないような日本の硬直化した勤務体系が国際競争力を阻害しているのに、今回の働き方改革法案には
その認識が足りなすぎる>

問題になっていた裁量労働制の拡大については、安倍総理は見送る判断をしたようです。判断としては妥当だと思いますが、
追及した野党の側にしても「データの信ぴょう性」という点だけでの「攻撃」に終わりました。結局のところ、「終身雇用制
のヒエラルキー」があり「一人一人の職務分掌」がオーバーラップしている日本では、労働者に「時間の裁量権がない」の
だから「裁量労働制」を無制限に拡大してはダメだという本質的な議論は、十分にされていないようです。では、他の部分に
ついてはどうなのかというと、現在の法案にもまだまだ問題があると思います。一番の問題は「同一労働、同一賃金」という
部分です。現在の法案(厚労省による適用ガイドラインも含めたもの)では、確かに「非正規労働」と「派遣労働」について
は「同一労働、同一賃金」を実現しようという内容になっています。ところが、「正社員」と「非正規・派遣」の間にある差に
ついては、改革が「骨抜き」にされ、ほとんど改善されません。厚労省の示しているガイドラインによれば、次のような判断
基準が適用されることになっています。まず次の(1)のような例は「問題ない」とされています。
「(1)基本給について労働者の職業経験・能力に応じて支給しているA社において、ある職業能力の向上のための特殊な
キャリアコースを設定している。無期雇用フルタイム労働者であるXは、このキャリアコースを選択し、その結果としてその
職業能力を習得した。これに対し、パートタイム労働者であるYは、その職業能力を習得していない。A社は、その職業能力
に応じた支給をXには行い、Yには行っていない。」
また(2)では、同じ仕事ではなく、アドバイスをする、受けるという関係が逆転している場合になりますが、これも「問題ない」
のだそうです。
「(2)B社においては、定期的に職務内容や勤務地変更がある無期雇用フルタイム労働者の総合職であるXは、管理職となるため
のキャリアコースの一環として、新卒採用後の数年間、店舗等において、職務内容と配置に変更のないパートタイム労働者で
あるYのアドバイスを受けながらYと同様の定型的な仕事に従事している。B社はXに対し、キャリアコースの一環として従事
させている定型的な業務における職業経験・能力に応じることなく、Yに比べ高額の基本給を支給している。」
要するに、正社員という身分制は全く変更する意志はないという前提で、「同じ仕事をしているのに給与が違う」とか「自分
の方が教える立場なのに自分は非正規で相手は正社員で、処遇が全く違う」という、人々の自尊心を踏みにじるような運用に
ついて「改革をするつもりはない」ということなのです。
まず(1)のケースですが、「特殊なキャリアコース」で「職業能力」を獲得したXは、その能力を活かして「職業能力」を獲得
していないYよりも高いパフォーマンス、つまり営業成績とか開発の質量、あるいは作業のスピードと正確度といった「結果」
を出しているのであればいいと思います。ですが、そうではなくて、仕事の結果は同じか逆転していても、一方が「特殊な
キャリアコース」に属していたら、それで給与に差をつけても構わないというのです。
さらに(2)のケースですが、まず「総合職」が「店舗での定型的な仕事」を「数年間」従事するというのが問題です。作業の
内容が全く「定型的」であり、しかもその作業について熟練しているパートタイムの「アドバイス」を受けるというのが、
本当に研修の一環として数日というのであれば、教える側も「色々と勉強させられて正社員は大変だ」ぐらいに思うでしょう。
ですが、その逆転現象が「数年間」も許されるというのでは、これは身分制と言われても仕方がありません。その数年間に、
総合職に「安全管理の責任」であるとか「営業成績向上へのリーダーシップ」などが求められ、また総合職はそれに相応しい
言動と実質的な店舗の経営責任を負うのであればともかく、パートタイマーにアドバイスを受けながら、全く「定型的」な
作業を「数年間」というのは、ダメだと思います。
問題はどこにあるのでしょうか? まず、管理職候補だという「将来の出世」を人質に取って、総合職とか正社員には無茶な
長時間労働を強いる風土があるわけです。一方で立派なスキルがあり成果を出していながら、「転勤ができない」とか
「長時間労働ができない」というだけの理由で「非正規」の安い賃金で使われる人々がいます。そのような「他の先進国では
あり得ない」ような人間の自然な心理に背いたマネジメントをしている、そこに日本の「働き方」の問題があるのだと思います。
少子化や母子家庭の貧困もこの問題に関係しています。さらに言えば、このような「硬直化した非人間的な制度」を続けて
いるために、人材の成長が阻害され、労働力が疲弊し、現場の生産性も、そして全体としての国際競争力も毀損されている
のではないでしょうか。現在進められている「改革」には、そのような厳しい認識が足りなすぎると思うのです。裁量労働の
問題で現在進んでいる「働き方改革」の内容見直しに加えて、この「同一労働、同一賃金」が「骨抜き」にされている問題も、
あらためて議論を再開するべきです。

日本の非正規雇用の現実政府は、「基本給や手当について、労働者の経験・能力に
応じて支給しようとするとき、同一の経験・能力を蓄積
している場合には、正社員であっても非正規社員であって
も同一の支給をしなければならない」というガイドライン
を示すことで、正社員と非正規の所得格差を縮小させよう
としているようです。職務内容が明確な仕事においては、
正社員と非正規の給与格差が縮小するかもしれません。
しかし、日本の労働慣行からすれば、「同一労働同一賃金」
の実現は難しいと言わざるを得ません。欧米では、契約上、
職務が具体的で、必要とされるスキルや、責任の範囲が
特定されています。日本でも、非正規雇用の場合は、職務
の内容が決まっていることが多いでしょう。これに対して、
正社員(特に総合職)の場合はそうではありません。職務
の内容や勤務地などは契約上、何も決められておらず、
入社後に、本人の意思とは関係なく、会社が決定します。
時間外労働も事実上、拒否できません。労働者は会社の命令に従うしかないのです。
その見返りとして、定年までの雇用保障と高い報酬が与えられている以上、同じ業務
をしていたとしても、正社員と非正規が「同一労働」とは言えないでしょう。
「同一労働同一賃金」は、同一労働ならば同一賃金を受け取れるという意味ですが、
逆に、同一賃金なら、非正規も正社員と同一労働をしなければならないという意味に
なってしまいそうな気がします。つまり、非正規も、正社員並みに、いや正社員以上
に「こき使われる」ことにはならないでしょうか。
このような状況で、もし裁量労働制が拡大されれば、「裁量権」が与えられるのは、
非正規でも正社員でもなく、会社のほうです。日本の会社員は、働きかたの自由を
放棄することで地位を約束されているのです。それを悪用しているのが、いわゆる
ブラック企業。現状の労働慣行のままでは、裁量労働制はブラック企業を支援する
だけになってしまいます。女性の活躍を本気で推進する気ならば、安倍政権は、
日本企業の労働慣行を破棄させる法案を検討するべきでしょう。つまり、労働協約
や就業規則に基づかない、労働条件や職場規律等に関する労使間の事実上のルール
があること自体を罰する必要があるのです。




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書籍の紹介

龍女「みなみ」からあなたへの
不思議なメッセージ集
新感覚のファンタジー!!

書籍表紙

不思議の国の「みなみ」
 宇宙へつながる秘密基地

「みなみ」 今月のメッセージ

正確に言えば、月読神が
本来、虚数である時間に
実数を用い、時間が流れる
という概念を創った。

プロフィール

舞尾 空

Author:舞尾 空
・性別:男
・年齢:47歳
・職業:サラリーマン
・血液型:O型

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