自由貿易の敗者の怒りが世界を変える

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米国が鉄鋼とアルミをどこの国から輸入しているか鉄鋼・アルミ関税上げ、米与党も批判
政権との不協和音強まる 経済界は賛否
 (3月3日 日経電子版)
トランプ米大統領が1日に表明した鉄鋼とアルミニウムの輸入制限をめぐり、
与党・共和党の批判が相次いだ。政権内で関税発動に反対してきた自由貿易
推進派で国家経済会議(NEC)のコーン委員長も辞任の観測が流れた。
選挙の支持固めを狙ったトランプ氏の強硬策は政権・与党内の不協和音を
強めている。「(他国の)報復と意図しない結果に大いに懸念を持っている」。
共和党上院ナンバー2のコーニン院内幹事は、他国との貿易関係に不満を持つ
トランプ氏の主張に一定の理解を示しつつも、強い懸念を示した。上院農業
委員会のロバーツ委員長は「他国の報復で一番の標的となるのは米国の農業だ。
農業にとってはひどく逆効果となる」と語った。大豆は米国の最大の輸出品で、
中国や欧州連合(EU)は報復措置として米国産大豆に関税を課すとの観測も
出ている。輸入制限を憂慮する共和党議員が続出している。EUのユンケル
欧州委員長は2日、ハーレー・ダビッドソンやバーボンなど米国の代表的な
製品に報復関税を検討していると明らかにした。これらは、議会トップの
ライアン下院議長、マコネル上院院内総務の地元の名産品だ。ライアン氏は
「大統領がほかの選択肢を検討することを期待している」(報道担当者)として、
関税発動に反対する構え。鉄鋼とアルミへの関税引き上げが耐久財や消費財の値上がりを招けば、消費者の負担は増える。
共和党議員は11月の中間選挙で有権者が離れかねないと懸念する。リー上院議員は「雇用を失わせる非常に大きな『増税』
だ。正式決定の前に代替案を見つけられることを望む」と訴えた。サッセ上院議員も「大統領は米国人家庭に大幅な増税を
提案している。共和党の政策ではなく、左派政権がやることだ」と強く批判した。
「まったくの過剰反応だ」。ロス米商務長官は2日、米CNBCテレビのインタビューで輸入制限への懸念に強く反発した。
鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を課す方針だが、双方の素材を多様する自動車を例に、3万5千ドル(約370万円)の
自動車で0.5%の値上がりにすぎないとの試算を披露。「(消費者への影響は)大したことない」と言い切った。国家通商
会議のナバロ委員長も2日の米FOXビジネス・テレビで関税の影響は小さいと指摘したうえで「(鉄鋼やアルミの)需要家
に大きな影響を与えるという考え方は、関税に反対するためのフェイク(偽)ニュースだ」と反論した。政権内で関税発動
に反対してきたNECのコーン委員長が辞任するとの観測も流れた。サンダース大統領報道官は2日「昨日何度も話をした」
と観測を否定したが、ウォール街を代表するゴールドマン・サックス出身で、保護主義の考え方にクギを刺してきたコーン氏
が離れれば、トランプ政権は保護主義への傾斜をさらに強めそうだ。一方、米経済界は賛否が割れている。鉄鋼やアルミの
メーカー、労働組合はトランプ氏の輸入制限を歓迎した。米国鉄鋼協会のギブソン会長は1日「米国内の鉄鋼生産設備は
約4分の1が稼働していない」と指摘。「来週の正式発表を楽しみにしている」とした。鉄鋼労働者の組合連合も「トランプ
氏の行動を称賛する」と表明した。「米国経済、企業、労働者、消費者を傷つけるもので強く反対する」。米大手企業の
経営者団体、ビジネス・ラウンドテーブルは1日、こう表明した。トヨタ自動車の米国法人は「米国での販売価格を大きく
上昇させる可能性がある」との見解を示した。欧州系コンサルティング会社ローランド・ベルガー日本法人の長島聡社長は
「日本車メーカーは日本から輸入する高張力鋼板などを使う比率が高く、関税引き上げの影響を受けやすい」と分析した。
米国際自動車ディーラー協会も、鉄鋼とアルミが自動車生産に不可欠な素材だとしたうえで「ここ数カ月、自動車販売は
鈍っており、メーカーはコスト上昇を吸収する準備ができていない」(ラスク会長)と懸念した。ビール協会も1日、
トランプ政権の関税引き上げに反対する声明を公表。アルミの関税引き上げが、年3億4千万ドルを超える調達コスト増
につながると試算し「米国でビール業界の雇用を危険にさらす」と批判した。

寂れたデトロイトの市街「自由貿易は良いことなのか?」と世界が言い始めた 
(2017年3月22日 経済プレミア 毎日新聞)
(前略)中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した2001年12月
から現在までの約15年間で、米国では約15万カ所の工場が閉鎖
された。毎年1万カ所ずつ消えていった計算だ。トランプ氏は「中国
はアメリカ(市場)を強奪している」と非難する。トランプ氏を保護
貿易に駆り立てる理由の一つだ。もう一つはトランプ政権が再交渉
を求めている北米自由貿易協定(NAFTA)だ。協定が締結された
1992年ごろまで、1700万人前後で安定推移していた米国の
製造業労働者は、15年には1200万人程度まで減った。およそ4分の1の製造業雇用が失われたことになる。
新産業にすぐ雇用は移動できない
自由貿易が米国の雇用を奪ったというトランプ氏の主張は、製造業労働者に受け入れられた一方で、経済学者たちの強い
反発を買った。昨年の大統領選の直前に、米国の経済学者370人が連名で「トランプ氏の掲げる経済政策は支持できない」
として同氏に投票しないよう米国民に呼びかける書簡を米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」に寄せた。
書簡は「米製造業の雇用の減少は70年代から始まっており、貿易ではなく自動化によるもの」と説明し、「NAFTA
見直しは米国に悪影響を及ぼす」との批判を展開。米製造業を復活させ雇用拡大を目指すなら、中国よりも製造業のロボット
化を問題視すべきだと主張した。「製造業を優先する」というトランプ氏に対し、経済学者らは「歴史を巻き戻して生産性の
低い仕事を生み出すような政策は持続しない。重要なのは、新たに必要とされる産業に人々が就けるようにすることだ」と
反発する。 ただし、経済学者の多くは、そうした新しい市場に雇用が移動するまでは、20~30年はかかると見ている
ことも事実だ。しかも、IT(情報技術)や人工知能(AI)といった新産業は、多くの労働力を必要としない。雇用を生む
新産業が現れるのか、経済学者も見通せない。その間、沈みゆく製造業のような産業に従事する者には、厳しい状況が続く。
新興国も保護貿易へ向かう
世界貿易はトランプ大統領誕生の前から、保護主義に向かっていたことを示すデータがある。英シンクタンクの「グローバル
・トレード・アラート」によれば、リーマン・ショック前に主要20カ国・地域(G20)全体で100件に満たなかった
保護貿易措置が、ショック直後の08年11月から増加し、足元では6000件を超えている。措置の7割は新興国で取られ
ている。保護措置の増加に合わせるように世界の貿易量の伸び率は減速し、世界経済成長の伸び率を下回る「スロートレード」
の状態が続く。自由貿易と保護貿易とでは、どちらが得策か。自由貿易は18世紀の英経済学者リカード以来、多くの経済
学者の支持を得てきたが、中間層の支持は急速に失いつつある。

自由貿易により、自国で生産したほうが効率的な製品は他国の分も含めて生産し、他国
で生産したほうが効率的な製品は輸入する・・・確かに、全体では効率的です。しかし、
効率的であればあるほど、思ってもみない出来事に対する脆弱性も高まります。自由
貿易では生産地域が偏在します。ある商品の主要生産地域が何らかの理由で生産不能に
なった場合、影響は世界に広がります。アメリカとカナダが大干ばつに襲われて、小麦
がほとんど収穫出来なかったらどうなるでしょう?小麦の価格ははね上がるでしょう。
経済力のない発展途上国は小麦を買えなくなり、貧困層の生活は困窮します。すべての
国々で食糧自給率を高い状態に維持していたなら、天候リスクを分散することができる
のに、効率ばかりを求め続けた結果、痛い目に遭うことになるのです。
もし、コメ農家への補助を全く行わない状況で、日本がコメの関税を完全になくせば、
日本の稲作は壊滅してしまいます。地方は耕作放棄地だらけになり、国土が荒れ地に
なってしまいます。
と、ここまで自由貿易の問題点について書きましたが、これまで日本が自由貿易の恩恵
にあずかってきたことは事実です。結局のところ、日本は世界の流れにのっていくしか
ありません。世界の自由貿易がさらに進むのならば、日本もそれに参加していくべき
でしょう。しかし、先進国は、自由貿易の推進と合わせて、自国の「地場産業」を守る
総括的な仕組みについても同時に話合うべきです。そうしないと、一部の勝者が莫大な
利益をあげ、大勢の敗者が市場から退出することになるでしょう。
自由貿易ばかりを訴えていると、いつか、敗者の怒りが爆発し、保護主義が台頭する
ことになります。1929年、アメリカは自国産業の競争力を強化させるために、輸入品
に対して高額の関税を課すポピュリズム政策を打ち出しました。欧州諸国もこれに
対抗して関税障壁を上げ、結果的にアメリカは輸出産業の縮小により、経済がさらに
悪化することになったのです。しかし、理屈だけではダメです。雇用を失い、家も失い、
希望を失った労働者の怒りが集団の力となって世界を変え得ることを、官僚や知識人は
頭に入れておくべきなのです。




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書籍の紹介

龍女「みなみ」からあなたへの
不思議なメッセージ集
新感覚のファンタジー!!

書籍表紙

不思議の国の「みなみ」
 宇宙へつながる秘密基地

「みなみ」 今月のメッセージ

正確に言えば、月読神が
本来、虚数である時間に
実数を用い、時間が流れる
という概念を創った。

プロフィール

舞尾 空

Author:舞尾 空
・性別:男
・年齢:47歳
・職業:サラリーマン
・血液型:O型

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