火星には水が存在する、今現在
category: 宇宙
NASAの「重大発表」は火星に液体の水の存在を示す発見。現在も地下水流の高い可能性
(9月29日 Engadget 日本版)
(写真はNASA)
NASAが予告していた「火星に関する重大発表」は、火星に現在も液体の水が存在することを強く示す根拠の
発見でした。今回の発見についての論文は、Nature Geoscience に掲載された
" Spectral evidence for hydrated salts in recurring slope lineae on Mars " (Lujendra Ojha他)。
概要をものすごく乱暴にまとめると、
1. 探査機 Mars Reconnaissance Orbiter が撮影した写真から、特定のクレーターの斜面に、火星が暖かい
季節に現れ、寒い冬には消える暗い「線」が見つかった。(これが " recurring slope lineae " 、R.S.L、
「繰り返し現れる斜面の線」)
2. 数年分の観測でも地形そのものは変わらず、地表を水が流れているわけではないらしい。滲みでた水で
コンクリートが黒く見えるように、地下に流れる水が地表の色を変えているのでは?との仮説。
3. 実証するため、Mars Reconnaissance Orbiter に載せたスペクトロメーターを使い、さまざまな手法を
考案し組み合わせて、「線」を部分を分析。
4. 結果、過塩素酸マグネシウムなど、塩水の存在を強く示唆する物質があることが判明。
といった内容です。火星の気温は赤道近くの夏の昼間で最高摂氏20度程度と低く、中緯度では平均して
昼間でも最大摂氏0度〜夜にはマイナス50℃程度ですが、塩分を多く含む水は凝固点が下がるため、
地下に濃い塩水が流れている可能性が示唆されています。
従来の観測では、火星にはかつて川が流れ大きな湖や海もあったと考えられており、また氷の存在も
判明していましたが、現在も液体の水があるかどうかは分かっていませんでした。
今回の発表も「液体の水を発見した」と断定はしていませんが、数億年前でもなく数百万年前でもなく、
いま現在も火星に液体で水が存在することを支持する強力な根拠である、と著者らは主張しています。
これまでNASAが定期的に予告してきた「重大発表」
は、フタを開ければ専門的すぎて一般には重大さが
伝わらなかったり、専門家でも重大かどうか意見が
分かれるような微妙な内容がたびたびありました。
しかし今回は分かりやすく、インパクトのある発見です。
水の存在からは生命の発見も期待しますが、今回の
論文の著者らの仮説が正しい場合、地下を流れる水は
氷点下でも液相を保つ濃い塩水であると考えられるため、
微生物の生存は難しいだろうとの予想もあります
(たとえばリンク先 NY Times に答えた NASAの宇宙
生物学者 Christopher P. McKay 氏など)。(後略)
(写真はNASA)
火星の水の塩濃度が高いからといって、微生物がいないとは限りません。
なぜなら、昔は火星には海があったのでしょうから、塩濃度はそれほど
高くはなかったと思われます。海が小さくなるにつれて徐々に塩濃度が
高くなったのであれば、微生物がそれに適応していける可能性があります。
では、エネルギー源は何か?
記事47-3では、アンモニアの酸化をとりあげましたが、現在の火星には
酸素はほとんどないようですので、いるとすれば嫌気性生物でしょう。
例えば、水素をエネルギー源にする生物です。
火星で棲息できる地球上生物、メタン菌 (5月22日 アストロアーツ)
米研究チームの実験により、地球上でもっとも単純な最古の生物であるメタン菌が、火星上で棲息できる
可能性が示唆された。メタン菌は水素をエネルギー源に、二酸化炭素を炭素源にして代謝を行いメタン
(天然ガス)を生成する微生物だ。メタン菌は嫌気性のため酸素を必要とせず、さらに有機的な栄養素も
不要で、光合成も行わない。こうした特徴から、火星に生物がいるとすればその理想的な候補とされている。
米・アーカンソー大学Rebecca Mickolさんは、2種類のメタン菌を火星の環境と同じ条件にさらすという実験
を行った。その結果、メタノサーモバクター・ウォルフェイイおよびメタノバクテリウム・フォルミシカムと
呼ばれる両種が凍結・融解サイクル実験で生き残った。
「火星の温度は、摂氏マイナス90度からプラス27度と幅広く変化します。もしも現在、火星に何らかの生物が
存在していれば、少なくともこの温度の範囲内で生きられなくてはなりません。長期的な凍結・融解サイクル
にさらされても、これら2種類のメタン菌が生き残ったという結果は、メタン菌が火星の地表下の土壌でも
生息できる可能性を示唆しています」(Mickolさん)共同研究者のTimothy Kralさんは1990年代からメタン菌
を研究し、火星上で細菌が生きられるかどうかを調べてきた。そして、2004年に火星の大気中にメタンが発見
され、その供給源が何であるかが大きな疑問としてあげられるようになった。「火星にメタンが発見されたとき、
わたしたちは、本当に興奮しました。人々がメタンの供給源は何かと疑問を持つようになったからです。
その可能性の1つが、メタン菌かもしれないのです」(Kralさん)
その後2013年には、探査車「キュリオシティ」の調査で検出可能な量のメタンは存在しないという結果が出た。
だが、火星の環境で生きられるメタン菌の存在が判明したことで、今後の研究の方向性に何らかの示唆を
もたらす可能性がある。
メタンは、水中の生物によって、
炭酸塩になっているかもしれません。
そのときの酸素は、硫酸塩を硫化水素
に還元することによって得られます。
廃棄した石膏ボードから硫化水素が
発生するのは、還元菌のせいです。
火星でかつて海底だったところに、
炭酸カルシウムとか炭酸マグネシウム
が存在すると面白いのですが・・・
<出典>新世紀を拓く深海科学リーダーシッププログラム
化学合成生物の生態の解明に関する研究「海底に湧くメタンで生きる生物たち」
なんの根拠もなしに、火星に生物がいるかごとく話を
進めましたが、現在はいないとしても、過去に火星に
生物が存在した可能性はかなりあるように思われます。
とすれば、地球の生物が地球で生まれたというのも
怪しくなってきます。
地球の生物が地球で生まれたという証拠があるわけ
でもないでしょう?
(9月29日 Engadget 日本版)
(写真はNASA)
NASAが予告していた「火星に関する重大発表」は、火星に現在も液体の水が存在することを強く示す根拠の
発見でした。今回の発見についての論文は、Nature Geoscience に掲載された
" Spectral evidence for hydrated salts in recurring slope lineae on Mars " (Lujendra Ojha他)。
概要をものすごく乱暴にまとめると、
1. 探査機 Mars Reconnaissance Orbiter が撮影した写真から、特定のクレーターの斜面に、火星が暖かい
季節に現れ、寒い冬には消える暗い「線」が見つかった。(これが " recurring slope lineae " 、R.S.L、
「繰り返し現れる斜面の線」)
2. 数年分の観測でも地形そのものは変わらず、地表を水が流れているわけではないらしい。滲みでた水で
コンクリートが黒く見えるように、地下に流れる水が地表の色を変えているのでは?との仮説。
3. 実証するため、Mars Reconnaissance Orbiter に載せたスペクトロメーターを使い、さまざまな手法を
考案し組み合わせて、「線」を部分を分析。
4. 結果、過塩素酸マグネシウムなど、塩水の存在を強く示唆する物質があることが判明。
といった内容です。火星の気温は赤道近くの夏の昼間で最高摂氏20度程度と低く、中緯度では平均して
昼間でも最大摂氏0度〜夜にはマイナス50℃程度ですが、塩分を多く含む水は凝固点が下がるため、
地下に濃い塩水が流れている可能性が示唆されています。
従来の観測では、火星にはかつて川が流れ大きな湖や海もあったと考えられており、また氷の存在も
判明していましたが、現在も液体の水があるかどうかは分かっていませんでした。
今回の発表も「液体の水を発見した」と断定はしていませんが、数億年前でもなく数百万年前でもなく、
いま現在も火星に液体で水が存在することを支持する強力な根拠である、と著者らは主張しています。
これまでNASAが定期的に予告してきた「重大発表」
は、フタを開ければ専門的すぎて一般には重大さが
伝わらなかったり、専門家でも重大かどうか意見が
分かれるような微妙な内容がたびたびありました。
しかし今回は分かりやすく、インパクトのある発見です。
水の存在からは生命の発見も期待しますが、今回の
論文の著者らの仮説が正しい場合、地下を流れる水は
氷点下でも液相を保つ濃い塩水であると考えられるため、
微生物の生存は難しいだろうとの予想もあります
(たとえばリンク先 NY Times に答えた NASAの宇宙
生物学者 Christopher P. McKay 氏など)。(後略)
(写真はNASA)
火星の水の塩濃度が高いからといって、微生物がいないとは限りません。
なぜなら、昔は火星には海があったのでしょうから、塩濃度はそれほど
高くはなかったと思われます。海が小さくなるにつれて徐々に塩濃度が
高くなったのであれば、微生物がそれに適応していける可能性があります。
では、エネルギー源は何か?
記事47-3では、アンモニアの酸化をとりあげましたが、現在の火星には
酸素はほとんどないようですので、いるとすれば嫌気性生物でしょう。
例えば、水素をエネルギー源にする生物です。
火星で棲息できる地球上生物、メタン菌 (5月22日 アストロアーツ)
米研究チームの実験により、地球上でもっとも単純な最古の生物であるメタン菌が、火星上で棲息できる
可能性が示唆された。メタン菌は水素をエネルギー源に、二酸化炭素を炭素源にして代謝を行いメタン
(天然ガス)を生成する微生物だ。メタン菌は嫌気性のため酸素を必要とせず、さらに有機的な栄養素も
不要で、光合成も行わない。こうした特徴から、火星に生物がいるとすればその理想的な候補とされている。
米・アーカンソー大学Rebecca Mickolさんは、2種類のメタン菌を火星の環境と同じ条件にさらすという実験
を行った。その結果、メタノサーモバクター・ウォルフェイイおよびメタノバクテリウム・フォルミシカムと
呼ばれる両種が凍結・融解サイクル実験で生き残った。
「火星の温度は、摂氏マイナス90度からプラス27度と幅広く変化します。もしも現在、火星に何らかの生物が
存在していれば、少なくともこの温度の範囲内で生きられなくてはなりません。長期的な凍結・融解サイクル
にさらされても、これら2種類のメタン菌が生き残ったという結果は、メタン菌が火星の地表下の土壌でも
生息できる可能性を示唆しています」(Mickolさん)共同研究者のTimothy Kralさんは1990年代からメタン菌
を研究し、火星上で細菌が生きられるかどうかを調べてきた。そして、2004年に火星の大気中にメタンが発見
され、その供給源が何であるかが大きな疑問としてあげられるようになった。「火星にメタンが発見されたとき、
わたしたちは、本当に興奮しました。人々がメタンの供給源は何かと疑問を持つようになったからです。
その可能性の1つが、メタン菌かもしれないのです」(Kralさん)
その後2013年には、探査車「キュリオシティ」の調査で検出可能な量のメタンは存在しないという結果が出た。
だが、火星の環境で生きられるメタン菌の存在が判明したことで、今後の研究の方向性に何らかの示唆を
もたらす可能性がある。
メタンは、水中の生物によって、
炭酸塩になっているかもしれません。
そのときの酸素は、硫酸塩を硫化水素
に還元することによって得られます。
廃棄した石膏ボードから硫化水素が
発生するのは、還元菌のせいです。
火星でかつて海底だったところに、
炭酸カルシウムとか炭酸マグネシウム
が存在すると面白いのですが・・・
<出典>新世紀を拓く深海科学リーダーシッププログラム
化学合成生物の生態の解明に関する研究「海底に湧くメタンで生きる生物たち」
なんの根拠もなしに、火星に生物がいるかごとく話を
進めましたが、現在はいないとしても、過去に火星に
生物が存在した可能性はかなりあるように思われます。
とすれば、地球の生物が地球で生まれたというのも
怪しくなってきます。
地球の生物が地球で生まれたという証拠があるわけ
でもないでしょう?
スポンサーサイト