成長という希望?それとも幻想?
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格差拡大型になった日本経済は成長できない (1月26日 田村秀男の「経済がわかれば世界が見える」)
デフレは格差拡大の元凶である。「デフレは企業者の生産制限を導き、労働と企業にとって貧困化を意味する。
したがって、雇用にとっては災厄になる」と、かのケインズは喝破した。
デフレ下では現役世代の賃金水準が下がるのに比べ、金融資産を持っている層はカネの価値が上がるので
ますます豊かになる。デフレで売上額が下がる中小企業の従業員は賃下げの憂き目にあいやすい。
デフレは円高を呼び込むので、生産の空洞化が進み、地方経済は疲弊する。若者の雇用の機会は失われる。
慢性デフレの局面でとられたのが「構造改革」路線である。モデルは米英型「新自由主義」だ。
97年の金融自由化「ビッグバン」で持ち株会社を解禁した。2001年に発足した小泉純一郎政権は、
「郵政民営化」で獲得した政治的な求心力をテコに米国からの各種改革要求に応じた。
製造業の派遣労働解禁(04年)など非正規雇用の拡大、会社法(06年)制定など株主中心主義への転換
などが代表例だ。
法人税制は98年度以降、02年度までに段階的に改正され、持ち株会社やグローバル企業を優遇している。
全企業が従業員給与100に対してどれだけ配当に回しているかを年度ごとにみると、70年代後半から
90年代末までは3前後(資本金10億円以上の大企業は7台)だった。この比率は、02年度からは徐々に
上昇し、13年度は11・5(同32)と飛躍的に高まった。
小泉改革路線は伝統的な従業員中心の日本型資本主義を株主資本主義に転換させた。
この構図は、従業員給与を可能な限り抑制して利益を捻出し、株主配当に回す、グローバル標準の
経営そのものである。もちろん、悪意なぞあるはずはなく、日本経済をグローバル標準に合わせて
大企業や金融主導で日本経済の再生をもくろんだ。
資本収益率(税引き前)に話をもどすと、米政府のデータに基づく筆者試算だと、米国の場合は
90年代後半以降6%前後で推移している。また、「21世紀の資本」によれば、世界的には5%強である。
それに比べると日本のそれは過去10年間3~4%の水準にある。
米国を中心とするグローバル標準まで資本収益率引き上げないと、外国からの対日投資が増えない、
日本の企業や投資家は対外投資に走るとの懸念があるせいか、国内では法人税率の実効税率
引き下げ、さらに雇用、投資面などでの規制緩和を求める声が強い。
しかし、株主資本主義では経済成長率を押し上げる力が弱いように思える。GDPの6割を占める
家計の大多数の収入が抑えられるからだ。名目賃金上昇率から物価上昇率を差し引いた実質賃金
上昇率は97年以降、ほぼ一貫してマイナスである。賃金を減らし、配当を増やすという、株主資本主義は
投資ファンドを引きつけても、実体経済の回復につながりそうにない。
安倍首相が本格的に取り組むべきは、格差社会の勝者を太らせる政策を廃棄し、旧世代や新世代を支え、
養う現役世代を勝者にさせる政策への転換ではないか。


<出典>平成26年6月 内閣府 『平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査』
内容紹介
21世紀の現代を生きる私たちは今、途方もなく厳しい時代を生きている。「余剰・過剰」問題という
怪物が世界を徘徊している。モノを作っても売れない。どんなに値段を下げても売れない。
だから、人間が余ってしまう。従業員を「喰わせてやる」ことができない。
社会は失業者予備軍で溢れている。とりわけ若者が就職できない。
実は百年前のヨーロッパで始まった、この解決不能の問題を、人類の中の最も先鋭な人たちが
すでに真剣に悩み抜いていた。
ヴォルテール、ニーチェ、ケインズに導かれ、政治思想家であり、かつ金融・経済予測本の
トップランナーである著者が、この難問題に挑む。
《章目次》
第1章 「余剰」こそは人類最大の解けない問題だ――最後に余ったのは「人間」
第2章 理想を捨てよ、そして何があっても生き延びろ! ――日本人が知るべき世界基準の思想
第3章 生き延びる思想――日本人が知るべきリバータリアニズム
これだけ否定的なことを並べられると逆にすっきり
してきませんか?
これまでのやり方ではダメなんです。
社会の閉塞感が強まれば強まるほど、
新しい時代を創る力はマグマのように蓄積されていきます。
わたしたちは新しい時代を創らなければなりません。
いまだかつて人類が一度も体験したことのない時代を・・・
デフレは格差拡大の元凶である。「デフレは企業者の生産制限を導き、労働と企業にとって貧困化を意味する。
したがって、雇用にとっては災厄になる」と、かのケインズは喝破した。
デフレ下では現役世代の賃金水準が下がるのに比べ、金融資産を持っている層はカネの価値が上がるので
ますます豊かになる。デフレで売上額が下がる中小企業の従業員は賃下げの憂き目にあいやすい。
デフレは円高を呼び込むので、生産の空洞化が進み、地方経済は疲弊する。若者の雇用の機会は失われる。
慢性デフレの局面でとられたのが「構造改革」路線である。モデルは米英型「新自由主義」だ。
97年の金融自由化「ビッグバン」で持ち株会社を解禁した。2001年に発足した小泉純一郎政権は、
「郵政民営化」で獲得した政治的な求心力をテコに米国からの各種改革要求に応じた。
製造業の派遣労働解禁(04年)など非正規雇用の拡大、会社法(06年)制定など株主中心主義への転換
などが代表例だ。
法人税制は98年度以降、02年度までに段階的に改正され、持ち株会社やグローバル企業を優遇している。
全企業が従業員給与100に対してどれだけ配当に回しているかを年度ごとにみると、70年代後半から
90年代末までは3前後(資本金10億円以上の大企業は7台)だった。この比率は、02年度からは徐々に
上昇し、13年度は11・5(同32)と飛躍的に高まった。
小泉改革路線は伝統的な従業員中心の日本型資本主義を株主資本主義に転換させた。
この構図は、従業員給与を可能な限り抑制して利益を捻出し、株主配当に回す、グローバル標準の
経営そのものである。もちろん、悪意なぞあるはずはなく、日本経済をグローバル標準に合わせて
大企業や金融主導で日本経済の再生をもくろんだ。
資本収益率(税引き前)に話をもどすと、米政府のデータに基づく筆者試算だと、米国の場合は
90年代後半以降6%前後で推移している。また、「21世紀の資本」によれば、世界的には5%強である。
それに比べると日本のそれは過去10年間3~4%の水準にある。
米国を中心とするグローバル標準まで資本収益率引き上げないと、外国からの対日投資が増えない、
日本の企業や投資家は対外投資に走るとの懸念があるせいか、国内では法人税率の実効税率
引き下げ、さらに雇用、投資面などでの規制緩和を求める声が強い。
しかし、株主資本主義では経済成長率を押し上げる力が弱いように思える。GDPの6割を占める
家計の大多数の収入が抑えられるからだ。名目賃金上昇率から物価上昇率を差し引いた実質賃金
上昇率は97年以降、ほぼ一貫してマイナスである。賃金を減らし、配当を増やすという、株主資本主義は
投資ファンドを引きつけても、実体経済の回復につながりそうにない。
安倍首相が本格的に取り組むべきは、格差社会の勝者を太らせる政策を廃棄し、旧世代や新世代を支え、
養う現役世代を勝者にさせる政策への転換ではないか。


<出典>平成26年6月 内閣府 『平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査』
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内容紹介
21世紀の現代を生きる私たちは今、途方もなく厳しい時代を生きている。「余剰・過剰」問題という
怪物が世界を徘徊している。モノを作っても売れない。どんなに値段を下げても売れない。
だから、人間が余ってしまう。従業員を「喰わせてやる」ことができない。
社会は失業者予備軍で溢れている。とりわけ若者が就職できない。
実は百年前のヨーロッパで始まった、この解決不能の問題を、人類の中の最も先鋭な人たちが
すでに真剣に悩み抜いていた。
ヴォルテール、ニーチェ、ケインズに導かれ、政治思想家であり、かつ金融・経済予測本の
トップランナーである著者が、この難問題に挑む。
《章目次》
第1章 「余剰」こそは人類最大の解けない問題だ――最後に余ったのは「人間」
第2章 理想を捨てよ、そして何があっても生き延びろ! ――日本人が知るべき世界基準の思想
第3章 生き延びる思想――日本人が知るべきリバータリアニズム
これだけ否定的なことを並べられると逆にすっきり
してきませんか?
これまでのやり方ではダメなんです。
社会の閉塞感が強まれば強まるほど、
新しい時代を創る力はマグマのように蓄積されていきます。
わたしたちは新しい時代を創らなければなりません。
いまだかつて人類が一度も体験したことのない時代を・・・
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