里山資本主義は懐古主義的現実逃避


イタリアの若者が、低収入なのに豊かな「ある理由」
(奥山清行著 『100年の価値をデザインする 「本物のクリエイティブ力」をどう磨くか』)
日本には古い寺院や遺跡はたくさんあるが、何百年も前の個人宅というのは非常に少ない。
対してヨーロッパには古い家がいくらでもある。イタリア人の若者が低収入のわりに豊かな
生活をしているのは、親の家を継承するので住宅ローンが不要だからだ。
世代ごとに大借金をして家を建てている日本人は、彼らから見れば異常である。100年持つ家を
建てて、子と孫をローンから解放してやろうと考える日本の親はなぜ出てこないのか。
(本の紹介は、記事29-6に記載)
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書籍「里山資本主義」に感じる不安・不満・不信 1 木質バイオマス編
(6月9日 ナチュロジー ハウスビルダーネットワーク > コラム)
木質バイオマスに関して、筆者が問題視するのは、主にその大型発電所に関する事項である。
元来、木質バイオマスは熱利用が王道であり、効率の悪い発電のみの為に貴重な資源を
燃やす事に疑問を感じているが、今回は、それ以外の問題点を述べる。
一般的な大型発電所では、年間10万㎥以上のチップ用原木丸太が必要になる。この発電所が
既設及び計画段階を入れれば全国に80件弱に上るらしい。それに構想段階のものを加えれば、
100件に近づくとの事である(2013年7月22日:日刊木材新聞)。これらが稼働すれば、概ね年間
1000万㎥以上の木材が必要となると思われる。これは、表層的には新規需要の開拓とも言える。
しかしながら、ここで考えるべきは、現在のこの国の林業施業能力(伐採・搬出作業の木材供給能力)
である。先日、林野庁が公開した25年度森林・林業白書によれば、24年度の国産材供給全体量は
1,969万㎥であった。これが25年度では製材・合板・チップ用材だけで約1,965万㎥となり、
前年(24年度)から6.4%増えたとの事である(2014年6月2日:日刊木材新聞)。
僅か6%程度の国産材需要拡大が、市場から丸太を無くし、供給不足から高騰を招いたのである。
主な理由は、人手不足等により施業が追いつかなかった事である。この状況で需要が50%も拡大
する発電用チップへの供給は、果たして可能なのだろうか?(中略)
第一章で岡山県の国内最大の集成材メーカーを製材所として、その企業内バイオマス発電を
紹介している。その第一章の関連するサブタイトルを以下に抽出する。
•21世紀のエネルギー革命は山里から始まる
•石油に変わる燃料がある
•エネルギーを外から買うとグローバル化の影響は免れない
•1960年代まで、エネルギーはみんな山から来ていた
•山を中心に再びお金が回り、雇用と所得がうまれた
どのタイトルも、筆者から見て、とても魅力的である。どれも筆者の志向と一致する。
しかし、書かれている内容には前項で述べた問題点のかけらも無い。読者に、里山資本の
ポテンシャルを無限のものと捉える誤解は生まれないか? 本来、その自然循環に沿って初めて
成立する「里山資本主義」と思うが・・・。その、自然循環を保持し促進することが肝心且つ難易度
が高いのだが、自然(里山)からの収奪のみで考察する「将来バラ色」には注意が必要と思う。
ここから、この本の最大の疑問点をのべる。ここで紹介されている企業は、国内有数の桧の産地
にありながら、生産する製材品(集成材)の殆どが外材を原材料としている。
その企業姿勢を問題視するのではないが、上記タイトルとの齟齬は否めない。
また、企業内バイオマス発電への取組に関しても、企業経営手腕としては高く評価出来るものの
「里山資本主義」で紹介する事例ではない筈だ。マネー資本主義の合理性を求めた結果である。
遠くヨーロッパから化石燃料を燃やして運んで来た木材から発生した残材を燃料とする発電であり、
また、それらを原材料とした木質ペレット製造である。
これらの取組の何処に「エネルギー革命は山里から」「脱グローバル化の影響」
「山を中心に再びお金が回り…」が当てはまるのか?

バイオマスエネルギー利用
「木質バイオマスエネルギー利用の現状と課題」 (2013年10月 富士通総研 研究レポート)

本記事は「31-5 里山資本主義というユートピア」の続編です。
上記の引用文(下)に代表されますように、里山資本主義に対する批判が
現場の人や現場の事情に詳しい人から発せられていることに注目しなければなりません。
里山資本主義という実現不可能な幻想を中山間地域にばらまかれて
非常に困惑しているのは、林業の現場で努力されているかたではないでしょうか。
過去を懐かしむことは楽しいことで、写真を見て思い出に浸ったり、昔の映画を見て楽しんだり
することは誰にもあることだと思います。森林は、日本人の心の拠り所ともいえる存在です。
個人的な現実逃避として、過去に逃げ込むことだって悪いことではありません。
しかし、過去は過去だからいいのであり、現実の社会になったらとんでもないことになります。
しかも、個人の楽しみではなく、社会のあり方として、懐かしい社会を現実の世界に置き換えて
“現実逃避”するようなことがあってはなりません。
自民党のキャッチフレーズである「日本を、取り戻す」という発想は、危険だと思います。
どの時代に戻ろうとしているのか知りませんが、日本は元に日本に戻ることはできません。
元に戻そうとして事態がより悪化することはよくあることです。

里山資本主義に登場してくる中国地方ではヒノキが多く植林されていますが、ヒノキは
60年以上の長い年月をかけなければ、構造材として利用できるような材木にはなりません。
他種の樹木に比べて成長が遅い分、比重が重く中身が詰まった強固な木に成長するため、
他種の樹木より高級な材木とされてきたのです。そして、心材と呼ばれる褐色になっている
木の中心部分には、木材腐朽菌の繁殖を抑制する成分が含まれているため、
他の木材と比べて腐りにくく、国内の歴史的な建造物に多く用いられてきました。
木材は一般的に、A材、B材、C材にランク付けされていて、A材は角材がとれる
まっすぐな木材、B材はA材には劣りますが合板や集成材などに利用できる木材、
そしてC材は角材や合板に適さない細い木や曲がった木です。
林業事業者のかたは、高い価格で売れるA材をつくろうと思って努力されているわけです。
B材もそれなりの価格がつきますが、A材が高く売れるような環境整備が最も重要であり、
C材は搬出や輸送に手間がかかるばかりで、たいした利益にはなりません。
しかし現状は厳しいものがあります。引用文にあるように、B材でさえ、地元の集成材メーカー
が購入してくれないのです(企業に責任があるといっているわけではありません)。
木材は単なる有機物ではありません。紙用のチップの場合は、多少なりとも木材の特性が
活かされていますが、燃料はただ燃やすだけです。燃料用途が建築材料の付加価値に及ばない
のは当然ですが、工業用原料、飼料、肥料にも及ばない最も付加価値のない用途が燃料です。

それでも、地元での熱利用ならある程度の効率性はありますが、発電になると、バイオマスの
必要量も莫大になりますし、エネルギー変換効率もとても低く、熱での利用がなければ、
上記の図のように、膨大なエネルギーロスが発生します。
環境先進国のドイツではバイオマスは熱利用が主であり、発電する場合でも、
熱利用したうえでの発電なので、小規模なものが多いのです。
さらに日本では急峻な山が多いので、大規模発電用木材を集めきれません。
このように無駄だらけなバイオマス発電なのに、どうして日本で間伐材を用いたバイオマス
発電が多く計画されているかといえば、再生可能エネルギー固定価格買取制度で高い買取価格
が設定されているからです。その負担金は、わたしたちの電気料金に付加されているのです。
太陽光発電や風力発電とは異なり、バイオマス発電は規模が大きくなればなるほど
搬出や輸送コストが余計にかかるため、電気利用者に負担をかけ続けることになります。
期間を限っての負担であれば、森を守るために国民も理解を示すでしょうが、これで「優雅な
里山暮らし」をしている人が現れることになれば、「いい加減にしろ」ということになるでしょう。
さら、2011年、総務省は2008年度までの6年間に国が実施した214のバイオマス関連の
事業について、地球温暖化防止など期待される効果が出ている事業を「皆無」と判定しています。
民間シンクタンクの評価ではなく、総務省が判定しているのです。つまり、
国が「バイオマスニッポン6.5兆円効果ゼロ」
と評価しているのです。いや、評価に値しないとしているのです。電気料金だけでなく、国民は
効果のない補助金の支出という形でも負担されられているのです(他にも、補助制度があります)。

林業の創生(再生ではない)には、
里山視点ではなく、顧客視点が必要です。

なぜ、お金持ちは、総ヒノキ造りの家を建ててくれないのでしょうか?
その理由として、いい家を建てると異常に高い固定資産税が課せられること、
相続税が高いことなどがあります。さらに、住宅の流通の問題があります。
日本には中古住宅市場がないので、子孫が住む場所を変えるために家を売ろうと思うと、
どんなにいい家でも価値が二束三文になってしまいます。
日本では、リフォームして、購入価格より高い価格で中古住宅を販売するという話を
聞いたことがありません。よくあるのが、家を壊して、更地にして売ったという話です。
これでは、誰もいい家を建てようとは思いません。いい家でなければ、外材で十分です。
国も何もしていないわけではなく、長期優良住宅普及促進法が平成21年6月に施行された
のですが、高耐久性木造住宅について、もっと思い切った施策が望まれます。
優良住宅の認定に、国産材のみを使うことといった条件はつけられないでしょうから、
国産材を使わざるを得なくなるような「適切な」条件を考える必要があります。

木造優良住宅優遇制度
<写真の出典> 天竜・無垢の木・ひのきの家 普及促進協議会
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書籍の紹介

龍女「みなみ」からあなたへの
不思議なメッセージ集
新感覚のファンタジー!!

書籍表紙

不思議の国の「みなみ」
 宇宙へつながる秘密基地

「みなみ」 今月のメッセージ

神津島の天上山は、
神が集う島のなかでも、
特に神の集まるところ。

プロフィール

舞尾 空

Author:舞尾 空
・性別:男
・年齢:46歳
・職業:サラリーマン
・血液型:O型

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