荘子とがん幹細胞と子どもの貧困率


「荘子(内編)」を読んで (生方史郎の「古典派からのメッセージ」)
荘子―名を周という。荘周の思想は老子と一緒にされて老荘と呼ばれる。しかし僕が抱いていた
隠遁者の術としての無為自然などという気軽なイメージは彼の思想には当てはまらない。
或いは清らかな芸術的境地だろうという推測もはずれた。荘周の思想は完全な個人主義である。
これは西洋的な個人主義ではなく、大いなる悟達をめざす、極めて精神性の高いものである。
僕は一体こんなことを考えた人間がいたのかと彼の思想に驚嘆し、引きつけられた。
彼は世俗的価値観を全く否定する。そして、数千里の翼を持ち数万里の彼方を飛翔する鵬の如く、
何ものにもとらわれぬ無何有の郷に精神を解き放つ。
あらゆる権力、道徳、名誉に全く動じないその不屈さはどうだ。 (中略)
人間の悩みと憂いは、価値的偏見に始まる。富と貧、大と小、美と醜。人間はこうした
相対の意識におびえすぎている。しかしそれは人間が築き上げた認識の慣習であって、本来は
そのものがあるだけである。そのものの世界―自然の境地に悠々と生きることが彼の超越である。
今まで時に流され、人に流されてきた僕は、この時初めて「自分独自の生」を考えた。荘周は、
僕が今までいかに世間の目に動かされてきたか、自分だけの精神を持っていなかったかを教えてくれた。
「物に乗じて心を遊ばしむ」と言い切る彼の悟達には程遠く、何も持たない自分を、僕はひしひしと感じた。
僕がそれまでうすらぼんやりと考えていた「生」とは自己に忠実に生きることであった。
が、今、僕はそれがむなしい言葉だけのものであることを知った。
広々としてすべてを包み込むような精神、生とはそんなものでなければならない。
僕はそのためにまず、人との比較による我、人の目に映る我を捨て去ろう。そんなことを考えた。

荘子 第1冊 内篇 (岩波文庫 青 206-1)荘子 第1冊 内篇 (岩波文庫 青 206-1)
(1971/10)
荘子

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老子について触れたついでというわけではありませんが、
荘子の思想について考えてみました(といっても、途中から話が脱線していますが)。
荘子の主張するとおり、人の悩みと憂いは、価値的偏見にあるといえるでしょう。
しかし、わたしたちは、自分の価値観を意識的に変えようと思っても、
長年しみついている観念は容易に替えられるものではありません。
特に、価値観というものは、単なる思想ではなく感情を伴うものなので、ウソがつけません。
例えば、「おれは権力なんか興味ない」と自分に言い聞かせても、
自分より年下の上司に叱責されて、気分を害しない人はそれほど多くはないでしょう。
感情はごまかせないのです(他人に対して隠すことは可能です)。
一方、友達にこっちのほうがいいよと言われると、これまでの価値観を一瞬にして撤回して、
友達が言ったもののほうがいいように思えてくることもあります。
なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?
その理由として、観念や思想には「階層」のようなものがあることが挙げられます。
「階層」の低い観念は容易に変更することができる(無意識的にも変化する)のに対して、
「階層」の高い観念はあまり変わることがありません。変化への耐性を持っているのです。
最上階の観念は認識することさえできないために、何を変更すればよいのかさえ分かりません。

「観念の階層」の様子は、がん幹細胞のイメージとして捉えることができます。
最近、がんには幹細胞があるという仮説が立てられていて、このがん幹細胞は抗がん剤に
対して耐性を持っており、残ったがん幹細胞をもとに、がんの再発が起きるというものです。では、
がん幹細胞を死滅させれば、がんはなくなるでしょうか?
そううまくはいかない可能性もあります。なぜなら、がん幹細胞がなくなると、
幹細胞でないがん細胞が初期化して(というより、幹細胞という概念が間違っているのかもしれません)、
がん幹細胞が再びできてしまうことになります。これですと、がん幹細胞をたたくことは無意味です。

思想も同じで、潜在意識に幹観念?を中心とした思想ネットワークのようなものがあり、
思想や観念が、お互いを補完し強め合うような関係になっていて、
わたしたちの意識的努力でそれを変更することは容易ではないのです。
幹観念に気づくことができなければ、なお一層、自分の心構えを変えることはできません。
しかもこの思想ネットワークは、社会全体で共有されていることが多いのです。
心底思っていることを言うと他人に全否定される、ということが続けば、
自然に他人と似たような考えになってしまうものです。特に、現在(の日本社会)では、
同調圧力が、気づくもの、気づかないものを含めて、様々な形で社会に張り巡らされています。
社会通念的観念のなかには、有益でないものもたくさんありますが、なかなか正されません。
「子供を育てるのは、親の責任」という観念は、当然だと思われるかもしれませんが、
「子供を育てるのは、社会の責任」という観念が浸透した世界ならば、
子どもの貧困率が過去最悪の16.3%
(7月15日 厚生労働省「国民基礎調査」)になったりすることはないわけです。
根本の思想が間違っていれば、
いくら思考を重ねても間違った結論しかでてきません。

だから、論理的思考が大切なのだという主張をする人がいますが、それは間違いです。
なぜなら、「論理的に正しい=真実」というのも一つの思想に過ぎないからです。

ガン幹細胞

子ども貧困率
出典:厚生労働省「国民基礎調査」
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書籍の紹介

龍女「みなみ」からあなたへの
不思議なメッセージ集
新感覚のファンタジー!!

書籍表紙

不思議の国の「みなみ」
 宇宙へつながる秘密基地

「みなみ」 今月のメッセージ

対馬・神津島ライン上に、
宗像三女神の長女、田心姫が
祀られている沖ノ島があるの。

プロフィール

舞尾 空

Author:舞尾 空
・性別:男
・年齢:46歳
・職業:サラリーマン
・血液型:O型

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